【アメリカ駐在記】ビジネスと人間関係におけるアメリカ人の考え方

米国駐在

@satoshi_gfa18さんのコミュニティに参加して、自分もアメリカ駐在の学びをブログに書いてみようと思い立ちまとめてみた。

総合コンサルティングファームに勤めだして3年目で得た駐在の機会。

当時は2016年。今思うともう2年経過している。これ以上放置すると記憶も風化するので急ぎ当時のメモを集めた。

駐在先はテキサス。私には縁もゆかりもないカウボーイの地だった。

本エントリではアメリカ人の考え方やビジネス、人間関係に焦点を当ててお伝えしたい。

アメリカ人は意思決定が早い。

高度経済成長期から言われる日本人は意思決定が遅いという逸話は本当だった。

これには大きく2つの要因があると感じた。

一つ目は歴史的にアメリカは「変化」を繰り返してきた国であるという点。

カウボーイが開拓したアメリカでは、スピードが命だという考えが根付いている

時代や国が数百年単位で変わらない歴史を持ち、単一民族が多くを占める日本と比較し、様々な国がアメリカを手に入れようと新しい人がどんどんやってくるアメリカとでは意思決定への考え方が全く異なる。

アメリカでは今の意思決定はその時点で有効であり、明日にはまた別の意思決定をしているのである。

手元にある情報を元に判断し意思決定をする。

もし明日新しい情報が入ればそれに基づき意思決定(方向転換)をする。その繰り返し。

一方の日本はすべての情報がそろっていることを確認してから意思決定をする

この違いは大きい。そしてもし日本人とアメリカ人が一緒に仕事することになった場合、確実に問題になる点だ。

もう一つは、意思決定をする人間は決まっているという点。

アメリカではジョブディスクリプションで従業員の仕事の範囲が定義されている。

そしてその定義された範囲に責任者が一人存在する。意思決定をするのはその人である。

意思決定という大きな力は、評価と報酬(昇進/降格、昇給/減給)に紐づいているため責任者は全力で取り組む。

評価や報酬、自分の部署の責任を負っていない人間からの干渉は迷惑な行為なのである。

ましてや関係者が判子を押していく稟議のような仕組みは受け入れられない。

変化に満ち、スピードの速い現代のビジネスでアメリカが強いのは、アメリカの開拓の歴史が作ったアメリカ人の思考傾向と相関性が高いことは否定できない。

尚、意思決定の分類については以下にまとめた。

意思決定:合意形成とトップダウン合意形成(A首相)とトップダウン(T大統領)の意思決定の違い

アメリカ人は顧客志向だ。

アメリカのレストラン(ファストフード除く)では、店員が客の空気を読む

店員は、客が何か必要そうであれば近づき声をかけ、相手の必要なものや好みを聞き、その好みを満たすための提案をする。

チップがあるんだから普通だろうと思ったかもしれない。

ここで強調したいのは、「パーソナライズ(個別化)された提案」や「細かい気遣いや思いやり」といった目に見えないものに対しチップとして対価を払うことがレストランという日常で起きているかいないかは、人の価値観に大きな影響を与えるということだ。

もしアメリカにいってチップはいつも10%や15%と決めているのであれば、考え直すべきだ。自分は店員さんのおかげでどれだけリラックスできたのか、店員さんの提案によって本来得られなかった幸せや、回避できた不快はないのかと。

日本のレストランの多くでは、客が店員を呼び、メニューの中から自分の好みを選ぶ。ここでは2つのストレスが発生している。

  1. 客(自分)が店員を探し、いなければ待ったり、大きな声をだして呼ぶという負荷
  2. メニューがすべてであり、ちょっとしたトッピングや自分好みの味付けを選ぶ余地がない

レストランという日常の世界だけでなく、これは数億の金額が動くコンサルティングやシステム導入の世界でも同じだった。

アメリカ人ビジネスパーソンは顧客の望みを絶対に聞く姿勢を見せる。そしてそれに対しいち早く提案をする。
その提案を受け入れるかどうかは顧客次第であって、サービスの提供側はとにかく顧客の要望を叶えるために必要なカスタマイズをしようと全力を尽くす。

アメリカ人と仕事をして、この努力は日本人よりも圧倒的に大きいと感じた。

スターバックス、サブウェイ、現地で人気のChipotleといったファストフードチェーン店も、顧客の要望を叶えるために、何十というカスタマイズを提供している。

これはアメリカに多様性があることにも起因するが、客の求めるものを個別にカスタマイズして提供するという考え方はアメリカの至る所に染み付いていた

アメリカ人は仕事のスピードが速い。

約10年前の2007年にTim Ferrisという人がアメリカにフリーランスブームをもたらしたと言われる。

彼の書いた4 hour work weekという本は130万部以上を売り上げ仕事の生産性向上という観点で私にとってのバイブルになっている。

これからアメリカ人と仕事を始める方はこの本を読めば、アメリカ人の仕事への考え方が少しは理解できるのではないだろうか。

私が感じた早い仕事のスピードの要因を並べてみる。

  • 会議を忌み嫌い、避ける:総合職という考えはなく、他人の仕事に干渉しないので、共有のための会議や進捗会議が最小化されている。
    (全体を把握するのはプロジェクトマネジャー等の全体を把握する人の仕事であり、その人が各チーム個別に状況を確認すれば仕事は進む。)
  • 新卒という仕組みや長期的な育成の考え方が薄く、常に即戦力を採用し個人が独立し同じ仕事を複数人で対応することが少ない
  • 許可ではなく許しを求めるスタンスで計画の時間が少なく実行の時間が多い。あらかじめ裁量を決め、そこに対し失敗すれば謝罪しリカバリーする。行動の前に上司やチームで共有する時間をとらない。
  • パレート(8:2)の法則が多くのアメリカ人に染み付いている。つまり、仕事は雑だが、肝を抑える。雑に残る部分は、必要に応じて後から修正していくことで、一番大切なことに集中する。

※日本語版も存在するが簡単な英語で書かれているので英語で読むのをお勧めする。

正直に言ってアメリカ人と働いた当初、仕事がとても雑に感じたり、何も考えていない、仕事をしていないように感じる時があった。

これは自分にアメリカ人の仕事の裏にある考えや価値観が見えていなかったと反省している。

仕事が雑なのは、彼らがその時点で細部に時間をかける必要性を感じていないので、それは雑なのではなく、不要なものであった。

情報を集めないままとりあえずで進めてしまっているように見えたのは、その時点で意思決定し、とりあえず前に進め、問題にぶつかればその時修正するというスタイルだからだった。

会議で何も発言しないなと感じていたのは、それは自分が発言すべきテーマではない(責任をもたない)と感じていたからだった。

こういった考え方の違いに気づくには数カ月かかった。

残念ながらカルチャーショックは本や他人の経験から学ぶことはできない。

しかし、現地でカルチャーショックを経験したときには対処法を本や経験者から学ぶことができる。

駐在者や、海外で初めて仕事をする人は、その場の状況に合わせて情報を得て考え方をアップデートし視野を広げていく必要がある。

まずおすすめは、異文化理解力というINSEAD(フランスMBA)の教授が書いた本である。

異文化での考え方の違い、ビジネス事例が豊富なので読んでいて参考にできる。

そういえば、あるプロジェクトで業務内容のインタビューを現場の担当者に依頼しようとした。その時クライアントのカウンターパートからジョブディスクリプションに通常業務以外を仕事とする記載がないのでインタビュー対応のために給料を増やせと言われかねないと言われたときは本当にびっくりした。

アメリカ人は仕事を標準化し、好循環を作っている。

アメリカは合衆国で、州によって考え方や法律が変わったり、様々な人種や文化の人が共生したりしている。

つまり日本のように国民が共通の教育を受け、共通の考えをもつようになる仕組みが存在していない。

アメリカ人は「自由」で統一されているが故に、自由以外の共通事項を見つけるのが難しい。

この背景や人材の流動性が高いこともあって、仕事が人依存になった場合、他の人がその仕事を遂行できなくなるリスクが高い。

そのため、仕事を標準化することが非常に重要になる。

また、他の会社で通用しないスキルを身に着けることは自身の市場価値を下げることになるので、非常に嫌がるのである。

そのため、業務やシステムは業界で統一する動きが強くなるし、それにより人材が業界を通じて活躍できるようになるという好循環が発生していると感じる。

この業務の標準化とITは非常に相性が良いと感じている。なぜならITシステムが人の行動を制御すれば、誰でも一定の品質のサービスを提供できるようになるからだ。

企業の基幹システムは社内の(信用が置けない)どのような人間にでも仕事を任せられるように、内部統制を担保する作りになっている。

Amazonは巨大なフルフィルメントセンターの入口に金属探知機を置くことで不正を防ぎ、人の仕事を処理した商品数や段ボール数ではかり評価することで品質と成果を管理する。

Uberは車を持つ人で運転さえできれば、町の地図に詳しくなる必要がないので、誰にでもタクシードライバーになれる機会を与えた。

このようにシステムを作ることで多様な人がいても行動を統一したり、簡易化(仕事の一部を自動化)したりすることで成果をあげるのに長けているのがアメリカだと感じた。

アメリカ人はフレンドリーだ。それ以上でもそれ以下でもない。

アメリカに住んでしばらく、アメリカ人はフレンドリーな人が多い印象だった。

散歩しているとすれ違う人から「そのTシャツいいね!」と言われたり、空港では職員から話しかけられたり、Taxiに乗ると運転手から話かけられることが多いことからそう感じている。

なぜアメリカ人はフレンドリーなのか、という点に対しては、以下の2点の特徴が大きいように感じた。

  • 沈黙は良くないという考え
  • 思ったことは口にする

一方で、深い関係を築くのはとても難しいことのように感じた。

そもそも深い関係になるということ自体難しい行為なのだが、表面的なフレンドリーさに比して難しいという印象を感じた。

これは一つに日本だと、年齢によっては上の人が下の人の面倒を見るという師弟的関係の考えや、同期で強い横のつながりを持つというのがあるが、それがアメリカでは起きにくいのかなと想像している。

また、相手の個性を認めること、相手に入り込まないこともアメリカでは大切なので、相手の所持品をほめたり、行動をほめたりすることはあっても身体的特徴や考え方については触れないというのがマナーの一つとなっているのが深い関係に繋がらない要因の一つのように感じた。

アメリカ人は家族が大切で、移民はアメリカが好き。

アメリカ人の人間関係は、
家族>>>越えられない壁>>>仕事仲間
である。

会議中でも家族からの電話が来たらそこで応対を始めることがある。

また、アメリカが好きな移民が多い。
Taxi(Uber)に乗ると移民の人によく会うが、こちらが日本からきていると発言すると向こうは外国人同士という親近感を沸くのか、総じてアメリカをほめる発言をする。

この自分の住んでいる国が好き、自分の家族が大切という考えは非常に重要で、自分たちがそう信じるからこそ、外国もアメリカをいいと思い、アメリカを目指す事につながっているように思う。

日本もこういってもらえる夢のある国作りをしたい。

アメリカ人は周りを気にしない。気にするのは自分がどう感じるか。

日本とアメリカの常識を比較してみる。

【日本の常識】
  • 周囲の迷惑にならないように電車ではリュックを前に持つ。
  • ベビーカーが邪魔にならないようにたたむ。
  • 公共の場所では静かにする。
【アメリカの常識】
  • 他人のリュックが邪魔だったら、ちょっとどいてと声をかける。
  • ベビーカーの移動を手伝う。階段では持つのを手伝ってくれる。
  • 他人がうるさいと感じたら注意する。

こういった日本での行為は原則、自分が他人に迷惑をかけないことを意識している。また他人から与えられる不快はできるだけ我慢する。

一方のアメリカでは、原則自由で、不快だとか手伝いが必要と感じたらそれを感じた人が能動的に行動するという意識が高い。

日本は臭い物に蓋をする傾向があり、迷惑な行為を避ける、知らないふりをする。
アメリカ人含めその他の多くの国では、臭いものには臭いと叫ぶ。取り除こうとする。

国が多様化するということは常識がなくなり、自分の感情を相手に伝えていくことで解決するよりシンプルで明快なコミュニケーションが必要になると思う。

日本がこれから外国人を多く受け入れるにあたって大切なことのひとつは、他人に寛容になることだ。

自動化(システム化、AIなど)によって無駄なコミュニケーションを削減できるところは削減しつつも、違いを声に出してポジティブに言い合える社会(コミュニティ)づくりというのはこれから活発になると思う。

個人的見解

このエントリは自分の経験をもとに感じたことを記載しており、100%事実ではないこともあると思う。

「アメリカ人は」という風に区切ったが、もちろんすべてのアメリカ人を同じ分類で語ることはできないし、分類することはできない。

しかし、アメリカで育ち、アメリカの思想を元に教育を受けた人の集団は、似た考えの傾向を持つことは否定できないと考える。

何よりも重要なのは、自分(日本人)の当たり前を元に相手の考えがおかしいと言うことではなく、自分は自分の常識や価値観、文化というフィルターで相手を見ていることを認識し、少しでも相手目線のフィルターを身に着け、相手をより深く理解することだと思う。

また、私自身はアメリカ以外にもヨーロッパやアジアでの滞在経験があり、それらと比較しできる限り客観的には書くように心がけてた。もし不愉快に感じる表現等があればご指摘いただけると幸いだ。

さいごに

トヨタ生産方式が日本で生まれた後、それを元にアメリカではリーン生産方式やさらに進化したリーンスタートアップ等が生まれた。

変化の時代においてはアメリカ人の考え方に優位性があるという一方で、日本にも優れた考え方がありその思考を言語化、体系化し外部からの新しい考え方とミックスさせるアプローチの必要性を感じる。

木を見る西洋人、森を見る東洋人の著者によると、東洋人はさまざまな出来事に広く気を配り、物と物との関係を探ろうとし、西洋人は対象の動きを支配する規則さえわかれば、出来事を自分の思いどおりにできると考えるらしい。

色々と考えすぎて準備に時間をかけがちな私は、とりあえずやってみるというアプローチを取り入れるよう日々意識している。

アメリカでの生活を通じて東洋人として、規則を理解し整理するロジカルシンキングや合理的な考え方の原点を学んだ。

全体像を見る東洋人としての長所はそのままに、合理的に行動できるようこの学びを今後も試行錯誤し、これからの時代にあった日本人の働き方を模索したい。

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