ロジカルシンキングとクリティカルシンキングってなぜ必要?という人のための現場での使用例紹介

コンサルの必須スキルとして真っ先に思い浮かぶロジカルシンキング(論理的思考力)、クリティカルシンキング(問題解決力)。

 

具体的にどういう能力なのかってあまりイメージできていないことはありませんか?

 

ここではなぜロジカルシンキングやクリティカルシンキングが必要で、現場でどのように使われているのかを説明します。

答えるべき問題は何か?

ある製造業の工場長から「在庫を抱えすぎているので、在庫回転率を上げたいと思っているがどうしたらいいか。」と相談されたケースを考えます。

 

相談されてすぐに、以下のような対応案を提示するのはただの思い付きです。
  • 在庫回転率を上げるために営業のプロモーション施策を打ちましょう。
  • 生産計画を見直して、しばらく既存の在庫を使うよう社内の調整をしましょう。
まず、「在庫を抱えすぎている」という発言と「在庫回転率を上げたい」の発言に因果関係があるのかを考えます。

 

つまり「在庫を抱えすぎている」という問題に対し、「在庫回転率を上げる」というのはいくつもある解決策の一つでしかなく、本当にそれが適した策なのかが明らかになっていません。

 

また「在庫を抱えすぎている」ではあいまいであり、何をどの程度抱えているのか、それがどのようなネガティブな影響を出しているのか、そして何よりも在庫を抱えすぎた原因が判明していない状態では、解決策を絞ることはできません。

 

そこで、在庫を抱えすぎているということを具体化・数値化し、「なぜ」在庫を抱えすぎているのかという問いを繰り返し、イシューの特定を始めます。
ポイント:答えるべき問題は何か?
  • 問題と解決策(結論)が同時に提示されているとき、一度それを切り離し、そもそもなぜその問題があるのかを振り返る。
    →「なぜ」を繰り返す。
  • 提示されている解決策がベストな策だと信じる論拠が存在しているかを確認する。
    →論理の飛躍が発生していないか?空傘雨の法則。
  • 問題が本当に問題なのかを判断するためには、できる限り定量化しておく。
    →So What?で具体化。
ここで、在庫を抱えすぎているというのは、工場に在庫が収まらなくなっているという問題があり、その原因や対応策は全くもって検討していないということがわかりました。

構造化

続いて原因を特定するために、現場へのヒアリングへ行きます。

 

現場の生産管理担当者になぜ在庫を抱えてしまうのかを聞くと、営業からの販売計画にぶれが多すぎるので、生産計画を作った後に営業が数を減らしてきて、作りすぎてしまうことが多いと回答がありました。

 

そこで次に営業部になぜブレがあるのかを聞きに行くと、ブレは10%程度に抑えているので営業のせいで在庫を抱えすぎているというのは嘘だと言い返されてしまいました。

 

営業部も生産管理部も自分には非がないと思っており、ただ会話を続けても進まないので一旦工場のプロセスを整理してみることにします。

 

まず、大きく工場内で行われているプロセスを整理します。
計画→調達→生産→ 出荷

 

そして、今問題になっているポイント、つまり「生産」後の在庫が残っている部分のプロセスをさらに詳細に整理します。
生産(組立1)→生産(組立2)→生産(塗装)

 

工場のプロセス
ポイント:構造化やプロセスの作成
  1. モレを防ぐ
  2. ダブりを防ぐ
  3. レベル感を統一する

仮説思考

生産プロセスが3つにわかれることがわかりました。

 

そこで、どのプロセスにあるモノが過剰在庫になっているのかを確認すると、塗装済みの完成品のみであることがわかります。

 

なぜ、完成品のみ在庫が過剰になるのか?他のプロセスでの在庫はなぜ過剰にならないのか?という疑問がここででてきます。

 

生産担当者に聞くと、理由は単純で組立たものをそのままにしておくと、塗装担当者の手持ちがなくなるので、完成品まで作り上げているということでした。

 

しかし、販売計画と10%しか差がないのに、なぜ完成品の余剰ができるのか?とさらに質問を重ねます。

 

すると担当者からは、販売数の総量には差がないが、突然の色違いへの変更が発するので、作り直しが頻繁に発生するとのことでした。

 

「完成品の余剰」、「色違い」というキーワードを元に、ここで仮説を立てます。

 

組立2の状態で生産を一旦とめて組立の状態でも在庫を持てば、注文の変更に応じた柔軟な生産が可能になり、在庫の総量を減らすことができる。

 

例えば、完成品1000という在庫を持っていたものを、組立2で300、完成品で300で持つということを検討します。
そして、その仮説を検証するためには何を証明する必要があるかを考えます。
例えば以下の2点です。
  1. 色違いの製品のプロセスは塗装のみが異なる。(完成品在庫を組立2在庫に振り返ることの実現性)
  2. 塗装を出荷の直前に実施可能である。(生産リードタイムの削減による完成品の在庫の削減)
ポイント:仮説には結論が必要
結論があることで、やること(検証事項)が明確になる。
ここで顧客の製品のラインナップとその生産方法を整理します。

 

製品ラインナップ

 

それぞれの製品の違いを見ると、工程3の塗装は異なるものの、工程2までは共通していることがわかります。
これで、検証1はクリアです。

 

次に塗装のリードタイムです。
確認すると、塗装は塗ってから乾燥までにかかる時間が48時間ということでした。

 

であれば、納期に対して、輸送にかかる時間+48時間前までに完成させれば、注文には間に合います。
これで仮説が検証され、在庫を削減する案ができました。

 

あとはこれに対し実現性を高めるための根拠を付加していけば実現案が完成します。

 

まとめ

なぜロジカルシンキングやクリティカルシンキングが必要なのでしょうか?

 

限られた資源でいかに成果を出すのか?という点に対し、全体像を描き、その中で一番効果的な対応をすることが経営に求められます。

 

またコンサルという立場においては、高い費用を払っているという顧客の心理に対し、最短で効果的な施策を立案する、つまり相手の期待を越えていかなければ、
投下した資源(お金)に対し、見返りが少ないとなります。

 

そのためにも、全体像を漏れなく描き、またダブりなくすることで、大切なポイントを見逃し後戻りを防ぐと同時に、重複による非効率を防ぎます。

 

ポイント:構造化された問題を優先付けする。
限られた経営資源(ヒトモノカネ)をどのように配分するか

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です