日本型ビジネスの特徴:和を以て貴しとなす

Harmony is to be valued.

Harmony is to be valued.
-Prince Shōtoku (The Chronicles of Japan)

はじめに

本記事は日本型グローバルプロフェッショナルとは?の第三章です。

日本型グローバルプロフェッショナル日本型グローバルプロフェッショナルとは?

本記事では外国から見て日本型ビジネスの特徴的な点を、以下の観点から説明します。

目次:
  1. 集団コミュニケーション
    • 意思決定
    • 階層化組織
  2. 1対1のコミュニケーション
    • 言葉の数
    • 言葉の質

集団コミュニケーション

各国と比較して遅いと言われる日本のビジネススピードと生産性を少しでも高めるにはまず以下2点を正しく理解する必要があります。

意思決定

1点目の意思決定は、和を以て貴しとなすの「集団で合意」を必要とする文化です。
つまり、集団の逆の個人(多くの場合組織で一番偉い人)の決断のみで物事が進むのではなく、組織内の総意として合意が成されて「決定事項」となるという点です。
例えば営業改革の推進プロジェクトを実施するにあたっては、営業部長一人の一存で決定するのではなく、営業部内のメンバーと関連部署の部長等全員が合意に至って初めて決定となされる点です。
組織の独立性とトップの権限が強い文化出身者にとっては、面倒と感じられる特徴です。

 

階層化組織

2点目の階層化組織は、意思決定には組織の下から上までの集団でされるにもかかわらず、コミュニケーションは常に階段になっており、指示や意見を階段を飛び越えて伝えてはならないという点です。
これはつまり、自分が上層部に対し意見がある際に、上司の上司に直接発言するのは和を乱す行為であり、意見は1つ上の上司から順に上げていくという流れになります。
逆の場合も一般的には、自分の直属の部下に指示を出し、指示を受けた人がその人の直属の部下に指示を出していくというコミュニケーションルートとなります。

 

これらは日本人にとっては当たり前のように思えるかもしれませんが、アメリカのトランプ大統領の急な発言にみられるように、アメリカの意思決定の文化では、組織のトップが決断をするのであり、そのために他の人の合意を得るという行為があまり重要視されないことを示しています。また、日本では一度決めたことはあまり変更しないのに対し、TPPの離脱等アメリカでは常に決定が後から変わるということから、意思決定の「重み」も文化によって変わってきます。

 

まずはこの日本の慣習を理解し、自分や顧客のコミュニケーション構造を知ることが日本でのビジネスの最初のステップになります。

 

※この組織構造をどのように攻略するのか、また組織内での根回しや稟議という仕組みを枠をはみ出ず効率的に実行する方法について等の詳細は別記事で説明していきます。

1対1のコミュニケーション

言葉の「数」と「質」という観点から特徴を解説します。

言葉の「数」

言葉の「数」は少ない単語数もしくはあいまいな言葉で相手に伝わる状態と、そうではなく自分の伝えたい内容をすべて直接的に言葉にして説明しないと伝わらない状態を示します。
縦軸に上下関係を横軸に親密度をおいた表から、関連性を見ていきます。
行間を読む、空気を読む
日本でのビジネスで必要なスキルの一つがこの「行間を読む」です。もしくは「空気を読む」と言ってもいいでしょう。
親密であればあるほど、少ない言葉でお互いが理解できる、というのは違和感がないと思います。そして、相手が目上の人であればあるほど、行間を読んだ発言が必要になります。

 

傾向として、日本のビジネスで目上かつ年長の人であれば行間を読むこと、つまり相手が言わんとしていることを少ない言葉と本人の態度から読み取る力に長けています。
間接的な言葉で相手に理解を示すこと、もしくは相手のちょっとした言葉を正確に読み取る力が信頼関係構築における重要事項です。
一方、あまりよく知らない人や目下、つまり自分よりも経験や知識が少ない人と話す場合に言葉の数が足りなく、相手が理解できないリスクがあります。
また、日本では目上の人に対しあなたの発言を理解できませんでした、と伝えるのを恐怖に感じる人もいます。
自分が上の立場にある場合は、逆に自分の意図をすべて言葉にして話す必要があります。

 

日本文化の一つの「俳句」の様に、「言葉には出てこない隠れた意味を読み取る力」が日本のビジネスコミュニケーションの基礎力となります。

言葉の質

つぎに、言葉の質に関しては「敬語」の理解が求められます。
「数」と同じく縦軸に上下関係を横軸に親密度をおいた表から、関連性を見ていきます。
敬語の使い方
敬語をどの場面で使い分けるかわからないという外国人によく出会いますが、基本的には上の表に従って言葉を変えれば問題ないでしょう。
つまり、立場が上であれば上であるほど丁寧な言葉づかいを心がけ、またよく知らない人であればあるほど、丁寧さを心がけるようにすれば問題ありません。

 

目上の上司に対しては初対面の際には丁寧な言葉を心がけ、時間をかけて言葉づかいを少しずつ率直にしていくことでより近い関係になれます。
また後輩に対しても親密になればなるほど、率直な物言いでも相手を傷つけることはなくなってきます。
日本の上司と部下のやり取りを見て、言い方がきつすぎる、個人攻撃をしていると感じる時も、場合によっては厚い信頼関係の表れかもしれません。
※階層化組織を利用したパワハラである可能性もありますので注意は必要です。パワハラを受けていると感じたら、上記のすべてを無視して階層を飛び越えてでも助けを求めましょう。

 

ここでは集団と個人間でのコミュニケーションについて触れました、これらは日本型プロフェッショナルが持つ基本的なスキルであり、他にも多々必要なスキルが存在します。
それらは今後体系的にまとめていきます。

 

※ここであげた日本型の特徴は基礎としての位置づけであり、すべての会社や組織には当てはまらないということもご認識ください。
例えばリーンスタートアップ方式(*)をビジネスの手法に取り入れることによって、上記のような合意形成型意思決定ではなく、少人数で小さく合意し実行と修正をループさせるようなスタイルを取り入れている企業も多く存在します。
プロフェッショナルとしては日本文化の上に位置する企業文化や組織文化を観察し、自身の行動を柔軟にする必要があります。

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